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施設訪問アドボカシーの意味と求められる背景

2、施設訪問アドボカシーの意味と求められる背景

施設訪問アドボカシーの意味

 子どもには自分に関わる決定について意見を表明することができます。そしてその意見をおとなによって聴かれ、考慮される権利があります(国連子どもの権利条約12条)。しかし実際には、おとなはどれだけ子どもの声を聴いているでしょうか。家庭でも、学校や保育所でも、そして親から離れて施設で生活する時でも、おとなの決めたことに従順に従うことを子どもは求められてきたのではないでしょうか。

 おとなが子どもの声を聴き、それが子どもの生活に関わる決定に影響を与えるように支援することが「アドボカシー」です。比喩的に言えば、子どもの声を大きくする「マイク」のような役割です。「子どもの声なんて」と軽視して、耳に入らないおとなに、子どもの声が届くようにするのです。また無力感にとらわれて声を出すことができなくなっている子どもたちが自信をもって自分の気持ちや願いを話せるように励まし、支援することもアドボカシーの仕事です。

 国連子どもの権利委員会は、乳幼児も障害児も、すべての子どもには、声を聴かれる権利があるとしています。親でも専門職でもない第三者の支援者として、イギリスではNPOなど市民が子どものアドボケイトとして活躍しています。市民だからこそできるアドボカシー、それが今、日本でも求められています。

 イギリスでは、1970年代から施設等で生活している子どもに対して市民によりアドボカシーが行われてきました。障害児施設、児童養護施設、里親宅、学校の寄宿舎などです。全国の様々な場所に、子どもたちが行政やケアを提供する人たちから完全に独立したアドボケイトと話すことができ、またアドボカシー(傾聴・意見形成支援・意見表明支援等)を受けることができるようにするためのサービスです。日本でもこうしたサービスがぜひ必要だと考え私たちは研究に取り組んでいます。(堀正嗣)

 

施設訪問アドボカシーが求められる背景

① 2016年 の児童福祉法等の一部を改正する法律(以下、改正法とする)では、理念規定において児童の意見尊重・最善の利益の考慮な どが明確化された。国連児童の権利委員会は、2011年に、「児童相談所を含む児童福祉サービスが児童の意見にほとんど重きを置いていない」ことを懸念し、その対策を講じるよう日本政府に勧告している。改正法における「児童の意見尊重」の明確化は、勧告への対応となるものであるが、それを担保する制度・サービスの整備は今後の課題であり具体的な制度設計が求められている。

② 2013年度の被措置児童等虐待の通告受理件数は288件で過去最多となった。被措置児童等虐待対応をはじめとした権利擁護の制度化が行われてきたが、さらに強化することが求められている。現在、児童福祉施設の小規模化が推進されているところであるが、「閉鎖的あるいは独善的なかかわりになる危険性」(厚生労働省:2012)が懸念されている。施設内虐待の背景に、「施設の閉鎖性・密室性」があることはつとに指摘されているところであり、外部機関からのアウトリーチの必要性が高まっている。

③ 障害者権利条約第7条3項は、障害のある児童の意見表明権の保障及びその際の「障害及び年齢に適した支援の提供」を求めており、それを担保する制度設計がもとめられている。                                (堀)

 

イギリスをモデルとした取り組み

①  イギリス(インクランド・ウェールズ)では1975年児童法改正により、援助過程で子どもの声を聴取することが政策に位置づけられ、子どもアドボカシーサービス(Children’s Advocacy Service)を提供することが基礎自治体に義務づけられている。その一部である施設訪問アドボカシー(Residential Visiting Advocacy)は、法的義務ではないものの、保健省が推奨するサービスとして広く実施されており、子どもの参加及び意見表明権の保障・施設内虐待の防止・ケアの質の向上に成果を上げている。

② 本研究会代表は2009-2010年にイギリスに滞在して上記サービスの調査研究を行なうとともに、ノルウェー・スウェーデンの子どもオンブズマン、カナダの州子どもアドボケイト、アメリカのCASA等各国の子どもの権利擁護サービスの訪問調査を行った。その結果、本サービス は、

(1)子どもの参加と意見表明の保障に焦点化している

(2)障害児・乳幼児への「非指示的アドボカシー」を含めてすべての子どもを対象としたアドボカシー技術が標準化されている

(3)処遇決定等の重要な意思決定において子どもの参加を保障するためのサービス提供が義務化されていることの3点において、子どもの意見表明支援サービスとして優れたものであることが明らかになった。(堀)

 

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